『SOFT ARCHITECTURE @1929』

※動画は以前のバージョン。


会場で流れるグールドの「ゴールドベルグ変奏曲」には、演奏しながら口ずさむ癖があったグールドの鼻歌が延々と録音されている。かつて恋煩った男がある女性との想い出にもがきながら晩年のうめき声を上げているようで、それがダンサーの少女のように無垢な動きと、時間を急激に遡ったかのようにゆらめく光のコントラストと相まって、「老人と少女」の陰鬱な世界を目の当たりにさせる。
女性が踊りながら戯れる水の入った容器や、光や、筒状の布や、濡れる靴下はきっと老人の変化した姿だったんじゃないかなぁって、うなり声聴きながら思ったら俄然面白くなった。
空間を柔かく変容させる作品でした。