Peppino2007-04-08

マクルーハン』 W・テレンス・ゴードン 宮澤淳一


マクルーハン入門書。マクルーハン文献目録が40ページにわたって載っていて彼の研究には必携なのでは。
全体的にそんなに理解しませんでしたが、イラストの効果もあってマクルーハン楽しいかもって思わせてくれます。

彼の固定された視点の否定や、線的構造からの脱却、自分には何の理論もないといってのける姿勢に非常に共感。
内容が多岐にわたるので印象に残った部分をあげると、「地球村(グローヴァル・ヴィレッジ)」かな。

世界環境は、人類と電子メディアとのさらに強烈な相互作用を経て再編成されるが、それは「人類という部族がホントの意味で一つの家族となり、人間の意識が機械文化の束縛から解放され、宇宙を自由に移動できる」環境だと言っていて、それを「地球村」と措定した。
その展望に対して今日の批評家が見当違いだといって斥けるわけだが、実はマクルーハンは自分のユートピア的展望が誤解を招くことを予見してて、そのうえで述べていた文章がとても印象的なのです。

「どんな家族でもひとつ屋根の下に置かれたら、同じ都市の何千もの家族以上に多くの相違と少ない調和に悩まされるのです。(中略)部族的な地球村は、いかなるナショナリズムと比べても、はるかに分裂的です。紛争に満ちています。村の本質は、分裂であって、融合ではない。(中略)地球村は理想的な平和や調和を見出すための場所ではない。その正反対です。」


最後に、著者がマクルーハンを一言で表現すると

What haven't you noticed lately?
最近気づいていないことは何か?

と言っていて、修論始めようとしてる身としては深い(イタイ?)お言葉でした。